きみのためならヴァンパイア




水瀬がいつもヴァンパイアに何をしているのか――それは、彼のジャケットの裏側に隠された数々の凶器を見せられて容易に想像できてしまった。


「そんなの、ひどいよ……」

「陽奈ちゃんさぁ、ヴァンパイアが下等生物ってわかってる? 下等生物が人間の血を吸うなんて許せない。だから僕は、彼らにちゃんと罰を与えてるんだ」


怖かった。理解できなかった。

ハンターは正義、そう思っていたから。


「――おかしいよ、水瀬……」

「でも君のお父さんは、そんな僕を君の許嫁にしてくれたよ? ハンターとしても、君の夫としても、認めてくれた」

「……私は、どっちも認めない」


そう言うと水瀬は、私の顔を押さえつけて、無理やりキスをしてきた。

本当に最低最悪なファーストキスの思い出だ。


「残念だけど、君の気持ちは関係ない。決めるのは僕たちだからね」


――このときのことは、きっと一生忘れない。

元から嫌だったものを、よりいっそう嫌いになった。

ハンターも、父親も、水瀬も、みんな。


特に水瀬のことは、心の底から大っ嫌いだ。