きみのためならヴァンパイア




「……いなくならないよ」


……紫月はそうやって、私がいてもいいって言ってくれる。

だから私はどこにも行かない。行きたくない。


……ところで、ここはどこだろう。

紫月の腕に包まれたまま辺りを見回すと、白い天井、白い壁、白いベッド。

やっぱり、病院みたいだ。


「紫月、私のこと病院に連れてきてくれたの? 紫月は大丈夫なの?」


あの日、紫月はかなりしんどそうにしていた。

そもそもあれだって、私のために日光を浴びすぎたせいだった。


「ああ……寝てれば治るって言っただろ」


そう言いながら紫月は私から離れる。

久しぶりに見た気がする紫月の顔。

確かに、顔色はよくなっているみたいだ。

けど、左手には雑に包帯が巻かれている。

自分でやったのが丸わかりだ。


「……ごめんね。倒れたの、私のこと気にしてくれて、昼間に外に出てたからなんでしょ? 手の怪我だって、私のこと守ってくれたから……」

「お前が気にすることじゃない。それ以上謝ったら許さねぇ」


そう言って紫月は、デコピンをするように手を構える。

体調の治った紫月のデコピンなんて絶対お断りだ。

おでこに穴が開くかもしれない。


「……ありがと」

「……俺が悪いんだよ。樹莉のことだって、もっと警戒しておくべきだった」

「樹莉ちゃんは、紫月のことが好きなんだね?」

「……俺に聞くな」

「たしかに……ふふっ――いったたた……」


ちょっと笑ったら、お腹がめちゃくちゃ痛かった。


「縫ったらしい。もし傷が残ったら……そのときは――」


紫月の言葉は、ノックの音で遮られた。