きみのためならヴァンパイア





……身体中に、気だるさを感じる。

ひどく重いまぶたを持ち上げる気が起きない。

まぶたの裏側の闇の中、ぼうっとしてる頭を整理する。


私、どうして寝てたんだろ。

……あ、たしか樹莉ちゃんにやられちゃったんだっけ。

――そうだ、紫月は大丈夫かな。

紫月の様子を見に行かなきゃ。


……でも、ここ、どこだろう。

枕も布団も、知らない感触、知らない匂い。

それを考えたとき、辺りを漂っている消毒液の匂いに気づく。

あ、もしかして病院かも……?


決心して、目を開ける。

すると、すぐそこに、紫月の顔が見えた。


「陽奈――」


紫月は少し驚いたように目を丸くした後、私を抱きしめた。


「し、紫月……?」

「……悪い」

「えっ……なんで紫月が謝るの」


あんなことになったのは、そもそも警戒もせずドアを開けた私のせいだ。

それに結局、紫月に助けに来てもらっちゃったし。

謝るのは、私の方だ。


「……紫月、本当に、ごめんね。いつも紫月に助けてもらって……守られてばっかりだよね、私。守られるだけは嫌だって、思ってはいるんだけど……」

「だけ、じゃねぇって。いいんだよ、お前は。いるだけで」


前にも、似たような話をしたっけ。


「だから、勝手にいなくなるなよ」