きみのためならヴァンパイア




「……お前、あのヴァンパイアの血を飲んだだろう」


父親が憎らしげに言ったのは、紫月のことだ。

私が振り返ると、父親は私の返事すら待たずに、銀のピストルを私に向けてきた。

ーー今、撃たれたとしても、消える記憶なんてヴァンパイアになってからのほんの一時間ぶんだろう。

けれど人間に戻ってしまったら、今度こそ私は外に出してもらえなくなる。

……それに、そもそも、生かしてもらえるかもわからない。


「そうしてまで、ハンターになるのが嫌なのか」

「……ハンターになるのはもちろん嫌。だけどーー違う。私は、紫月に会いたいからヴァンパイアになったの」

「……銀の弾丸の製法を消し去ったのは、私たちへの復讐のつもりか?」

「違う! 記憶を消すなんてやり方、間違ってると思うからやったの!」

「……自分がどれほどのことをしたかわかっているのか。銀の弾丸なしで、ヴァンパイア共をどう片付けるつもりだ」

「……それはーー私が、どうにかする」


……何も考えていないわけじゃない。

数は限られているけど、紫月の血液入りのカプセルはまだ残されているはずだ。

紫月の血を利用するみたいで気が引けるけどーーうまく使ってもらえば、ヴァンパイアたちの考えだって変わるかもしれない。


「ーーなるほど。随分、大口を叩くようになったな」