きみのためならヴァンパイア




私が肩を左手で払っていると、下げたままの右手に何かが当たった。

ちらりと見ると、触れていたのは陸君のピストル。

紫月は水瀬から目を逸らさないまま、後ろ手で私にピストルを差し出している。

持っていろ、ということだろう。

水瀬にバレないよう、素早く受け取ってポケットに差し込んだ。

でも、いざピストルを使わないといけない時が来たらーー私は、撃てるかな。

人を撃つ、なんて、そんな勇気のいることできるかな。


ふいに陸君のことを思い出す。

陸君はためらいもせずに、紫月のことを撃っていた。

それはきっと、陸君に覚悟があったからだ。

理由こそ褒められたものじゃないとは思うけど、陸君が目的のために覚悟を持っていたのは事実だ。


……じゃあ、私の目的は?

今ここで、私は何をしたくて、何をするべきだろう。

ゆっくり考える時間なんてあるはずもなく、水瀬は否応なしに話を続ける。


最後(・・)だし、気になってるだろうから話すけどね、陸とかいう頭の悪そうなヴァンパイアがいたでしょ。彼、利用させてもらったんだ。間宵君を少し弱らせてもらおうと思って。そしたら想像以上に陸は使えなかったよ。間宵君、まだ元気そうだよね? 僕、自分が痛いのは嫌なんだけどなぁ」


水瀬はわざとらしくため息をつく。