「この際ぜーんぶ教えてあげるけどさ。僕はね、陽奈ちゃんがどう動いてくれてもよかったんだ。僕のところに帰ってきてくれても、間宵君と仲良くなってくれてもね。陽奈ちゃんが僕を選べば僕は暁家に婿入りできる。間宵君を選べば、陽奈ちゃんは間宵君の弱点となってくれるからね。実際、そうだろ?」
水瀬が、懐から取り出したナイフの切っ先を私に向ける。
紫月は、私を庇うように前に立った。
「ほらね?」
心底おかしそうに、水瀬は笑う。
水瀬にとって、私は駒でしかなかった。
そんなこと、わかってた。
けど、私が何をしてもそれが水瀬の手のひらの上だったということが、すごく悔しい。
「ーーで、そんな陽奈ちゃんにピストルを渡したら面白そうだと思ったんだ。間宵君は、陽奈ちゃんなんかのことを信じきれるのかなって。陽奈ちゃんが一人で僕のところに来たときは、かわいそうだと思ったよ。間宵君に見放されちゃったんだって。でも、そうじゃなかったみたいでよかったね」
「……なんでも知ってるんだね、水瀬」
「そりゃあ、君の肩に盗聴器と発信器がついてるからね」
ーーあの時だ。
水瀬にピストルを返しに行ったときの、去り際。
確かに、水瀬に肩を掴まれたのを覚えている。
どこまでも迂闊な自分に嫌気がさす。



