「え……」
私がハンターの名家である暁家の娘だって、紫月は知ってたの?
出会ったとき、確かにフルネームはすぐにバレた。
けれどまさか、あの暁家ということまで気づかれていたなんて。
そうだとしたら、どうして紫月は私を拾ってくれたんだろう。
ヴァンパイアハンターのことが嫌いだと、確かに言っていたはずなのに。
「……やっぱり、知ってたんだ。樹莉、そう思ってたよ。わざとらしくイトコだとか嘘ついちゃってさぁ! そんなわけないじゃん、紫月はひとりぼっちの王様で、最後の王族だもんね?」
ーー最後の王族。知らなかった。
家族はいないと言ってたけれど、血縁すらもいないんだ。
マスターが紫月のことを、一人で寂しいと言っていたのはそういうことだったのかもしれない。
「……で? 言いたいことはそれで終わりか?」
「っ、だからなんで、ヴァンパイアの王様が! ハンターの家の女なんかに! そんなに執着してるのよ! もう稀血でもないんでしょ!? なんでっーー」
樹莉ちゃんは取り乱した様子だが、その言葉には共感する。
私だって、どうして紫月が優しくしてくれるのかわからない。
紫月は私の方へ戻ってきて、それを見た樹莉ちゃんは辛そうに顔をしかめて目を伏せた。
「……なんで、樹莉じゃダメなの? 紫月が孤独なままでいるなら、それでよかったよ。けど、なんでそんな女と一緒にいるのよ……」



