きみのためならヴァンパイア




うまく、言えたかな。

恐る恐る陸君の顔を見ると、陸君は驚いたように目を丸くしてから、楽しげに口角を上げる。


「え、なに、どしたの。命乞い?」

「……うん。そうだけど……陸君、私のこと、好みって思ってくれてるんだよね。だったら、今ここで(・・・・)なんでも好きにしていいから、助けて?」


私は、陸君のシャツをきゅっと握り、上目遣いで言った。


「ははっ、陽奈ちゃんさぁーー」


きっと大丈夫だ。陸君は、私のお願いをきいてくれる。

指の背で唇を拭い、背伸びをして、目をつぶる。


「……ほんとにかわいーじゃん、気に入っちゃったな」


陸君の唇が、私の唇に触れた。

私は紫月の顔を一瞬でも見ないように、よりいっそう強くまぶたを閉じる。

紫月を見たら、躊躇(ちゅうちょ)が生まれてしまうから。

私が葛藤を押し殺している間にも、陸君はついばむようなキスで私をもてあそぶ。


ーーけど、まだ、終わらせない。


私は陸君の首に腕を絡めた。

それから、陸君の薄く開いた口の中に、精いっぱい舌を伸ばす。

陸君は、無力な私を拒まない。


私はそれを確信してから、隠しておいた切り札を舌で陸君の口内に押し込んだ。