「で、陸。さっきの答えだけどーー」
樹莉ちゃんは紫月を一瞥して薄い笑みを浮かべる。
「こっちには人質もピストルもある。殺さない程度に動けなくさせるのは簡単だよね?」
「は? どーいうつもり?」
「紫月は、どんな大怪我しても大丈夫。樹莉がぜーんぶお世話してあげるからね。その間にあんたがさっさと銀の弾丸持ってきなさいよ」
「えぇー……そんな簡単にいくかなぁ」
紫月の記憶を奪おうとした上に、できないとわかれば大怪我をさせてもいいなんて。
樹莉ちゃんの計画は、あまりに恐ろしくて、残酷だ。
「そんなの、ひどすぎるよ……!」
「そこの女、またなんか言ったでしょ? まあいいや、紫月を捕まえたら、あんたはすぐに殺してあげるから」
「やめろ!」
紫月の叫びは、ヘッドフォンをした樹莉ちゃんに届かない。
陸君はうんざりした表情を浮かべて口を開く。
「うるせーよ、王様。でかい声出しても意味ないって。けど、ま、安心して。陽奈ちゃんは俺が殺させないよ」
「……何のつもりだ」
「あんたさ、陽奈ちゃんのことを物でもエサでもないって言ってたよね。じゃあ、そこまで必死になって取り戻そうとしてるのは、大切な人だからでしょ。……そんな大切な陽奈ちゃんを、俺がめちゃくちゃにしちゃったらどうする?」



