きみのためならヴァンパイア




「おい、やべーって……」

「陸、とにかくピストル置けよ!」


紫月を押さえている二人がうろたえる。

その隙を、紫月は見逃さなかった。

突然しゃがみ、二人の手が紫月から離れた瞬間、片方に蹴りを入れる。

その衝撃で男のマスクが外れた。

男が起き上がったとき、紫月は撃たれた方の肩を男の顔に打ちつけた。


「俺を解放しろ!」


紫月が言うと、男はハッとしたような表情で、慌てて紫月を拘束していたロープをほどく。

もう一人の男が焦った様子で止めるが、まったく耳に入っていないようだ。

ーー紫月の血を飲んだんだ。


「お前は、どうする? 仲間同士でやりあうか?」

「いや、俺は……」


三人組のうち一人は負傷、一人は紫月の言いなり。

追い詰められた男は指示を仰ぐように陸君を見た。


「……ちゃんと押さえとけよ、次は当てるから」


ーー陸君、ピストルが実弾ってわかっても紫月を撃つつもりなの?


「陸……殺すってのか?」

「当然。せっかくのチャンスなんだから」

「……俺は、そこまで……」


男は、迷っている。

その間に紫月が、血を飲ませた男に指示をする。


「おい、仲間を連れてここから消えろ」