きみのためならヴァンパイア




銃声が聞こえたと共に、紫月の肩から血しぶきが飛ぶ。


「紫月っ!」


紫月は目を細めて、声もあげずに痛みに耐えている。

今すぐ駆け寄りたいのに、手錠のせいで叶わない。

紫月の肩から血が滴る。


……けど、どうしてーー?

銀の弾丸はヴァンパイアを傷つけないはずだ。

記憶を消して、人間に変えてしまうだけのはず。

だったらどうして、紫月は怪我を負ったのだろう。


「ーーっ、はぁ!?」


私が疑問を口に出すよりも先に、陸君が言った。

陸君は取り乱した様子で、自らの手にあるピストルを見る。


「おかしい、なんでだよ」


そしてまた銃口を紫月に向けるが、先ほどとは違って、その手は震えていた。


「お、おい! 待てよ陸!」


陸君の様子を見てか、仲間の一人が慌てて止める。

しかし陸君はピストルを下げようとせず、引き金に指を置いた。


「やめとけって……!」


一人が紫月から離れて、陸君の方へ駆け寄る。

それでも止まらなかった陸君は、引き金を引いた。


ーー弾は、仲間の足に当たってしまった。

苦しそうな声をあげてうずくまるその男の元に、血が流れる。


「……実弾……?」


思わず、呟いた。

きっと、この場の誰もが理解したと思う。

ピストルに込められているのは、銀の弾丸なんかじゃない。

いきものを殺すための、実弾だ。