結婚って何なんだろう?ふとそんなことを考えてしまう時がある。

「結婚」と調べれば、近親同士でない十八歳以上の男女がお互いに結婚の意思を持ち、婚姻届を提出することと書かれている。でも、最近の結婚にはたくさんの形があったりする。

「おはよう」

「おはようございます」

挨拶を交わし、共にテーブルを囲んで食事を食べる。でも、私たちの間に愛はない。

この結婚が始まったのは、僅か一ヶ月前ーーー。



灰原椿(はいばらつばき)の朝は、この家に住む誰よりも早い。この家の一階にある一番小さな部屋のベッドから椿は起き上がり、どこかくたびれた服を着ると部屋を出て行く。

まだ夜が明けていない午前四時に洗濯物を干し、庭の花に水をやり、朝食の支度を始める。今日の朝食は家族が「和食がいい」と話していたため、白米を炊き、豆腐とわかめの味噌汁を作り、焼き魚と煮物なども用意した。

「うん、いい感じ」

味噌汁を味見した後にチラリと時計を見ると、もう午前七時を時計の針は告げている。

「大変!みんなを起こさなきゃ」