遥かなるゴールを目指して

 ぼくらは生まれる前からずっと走り続けてきた。
何だかよく分からないけど示されたゴールへ向かって。
 そこには何が有るのだろう?
そこでは何が待っているのだろう?
 今だってぼくらには知る余地も無いけれど、とにかく走るんだ。
命の限り走るんだ。
 大人たちにいつもそうやって教えられてきたよね。
 休むことも寝ることも許されない長い旅。
挑戦することだけがぼくらに与えられた特権のような気がして。
 走り続ける中で疑問と欺瞞に苦しめられてきたよね。
 さあ、ここからは君の思い通りに過ごすがいい。
走るも止まるも君の意志だ。
大人たちはいつもそう言って笑っていた。
 そんな大人たちに抵抗するためにぼくらは走ってきた。
振り向けば何も残っていなかった。
そんな毎日が悔しくてただ走り続けてきた。
もちろん、この旅が終わったわけではない。
ぼくらが死んでも旅は続くんだ。
見えないゴールを探し続けて。