人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


「ええっと……いいのかな?」

「テオ様は最初からそうですよ」

「なら、そうするね、リリー」

 最後にわざわざ『リリー』と付け加えてくれたのが分かった。

 呼び捨てにしてもらって、ようやくしっくりきた気がした。


 テオ様がウィル様の袖を引っ張った。

「お兄様、そろそろリリーにお願いしてほしいんだけど……」

「あ、そうだったね。ちょうどその話をしようとしていたところで、テオが顔を出してきたんだよ。リリー、ドワーフは園芸をしないっていう話だったんだけど、あっちを見てほしいんだ」

 ウィル様の指す方角に目をやった。

 きれいに手入れされ整えられているはずの中庭にあって、その一画だけが雑然というか、ごちゃごちゃしている。

 でも、違和感を感じるどころか、なぜだかとてもよく知っているようで親しみが湧いてくる。

 近くに行ってみて、すぐにその理由が分かった。

 青や黄色の小さな花は、ドワーフに森のあちこちで咲いているものと同じ種類だった。

 それから、喉の痛みに効くハーブに、疲れているときに飲むハーブ、虫よけのハーブ。森に行く度によく摘んで帰った。