「ほら、ウィル、ですよ! ウィル!」
「……ウィル様」
押し切られてしまった……いいんだろうか……
「リリーさん、これからも僕のことはそう呼んでくださいね」
ウィル様は白い歯を見せる。
「お兄様、張り合っちゃって心が狭いなー」
「12も歳下の弟に負けるわけにはいかないよ」
ウィル様はわざとらしく、威張ってみせる。
でも、テオ様の言う通りだと思う。
テオ様はまだ7歳ってことになるから、愛称で呼んでもらいたいという気持ちも理解できなくはない。
問題はウィル様のほう!
4つも歳下の人質? 客人? に、愛称で呼ばれたいものなの?
「あの……ウィル様、」
ウィル様は『うん?』とニコニコ顔を向けてきた。
「そう呼ばせてもらいますので、ウィル様のほうは私に丁寧語を使わないで普通に話してください」
昨日からずっと気になっていた。
私は平民なのにいいのかな? って。
私がウィル様を愛称で呼ぶなら、せめてウィル様にはそうしてもらわないと!



