人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 するとウィリアム様は反対の手で、突き出したほうの前腕をたたいた。

「ここにつかまってください」

「へっ!? なぜ、ですか……?」

 素っ頓狂な声が出てしまった。

 それでも王子様スマイルは少しも崩れたりしなかった。

「石畳を歩きます。歩きにくいですから」

「えええっ? 私は大丈夫です。森の中へ木の実や木の子の採集にも行けちゃう、すごく歩きやすい靴を履いてるので!」

「つれないことを言わないで、僕に可愛い女性をエスコートする栄誉をください」

 ウィリアム様は私の手首をひょいっと掴むと、自分の前腕につかまらせてしまった。

 きゃー! 王子様って、触れていいものなの?

 と、ところで、昨日からウィリアム様はちょいちょい軽口を言う人だよね……

 それどころか、リップサービスまで……

 物語の王子様と違って、とても気安い気がする。