「髪をとかして、まとめますね。お支度が整いましたら朝食です。本日からは食堂でお願いいたします。朝食後、ウィリアム第一王子様と中庭を散策する予定になっておりますので、しっかりと召し上がってくださいね」
朝食……
昨日はこの部屋で軽食だけ食べて眠ってしまったんだった。
王城の食堂で提供される食事は、どんな感じなんだろう……
お父さんは何て言ってたっけ?
確か『上品で繊細な……かぶりつけないような食事』って……
不安がドドドッと押し寄せてきた。
『ルールとマナー』の本の中で、食事マナーについてはどう書かれてた?
ううっ、緊張で何も喉を通らないかもしれない……
それでも、イヴリンさんに案内されて食堂の席についた(私はイヴリンさんには逆らわないでおこうと決めた)。
廊下を歩いているときから、パンの焼ける香ばしいにおいがしていた。
それまで全く食欲を感じていなかったはずなのに、そのおいしそうなにおいに鼻腔をくすぐられた途端、お腹が騒ぎ出した。
これなら食べられそう。



