人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 天蓋のカーテンは薄いから、窓から朝の光が差し込んでいるのが分かった。

 朝が来たんだなと思った。

 けれども、体は全く動かない。

 まぶたを閉じたまま、今日の予定を思い出そうとした。

 今日は何を製作する予定だったっけ……

 そこでようやく、はっとした。

 そうだ、私はもう細工師じゃないんだった……

 そう思ったとき、自分が真っ暗な穴へ真っ逆さまに落ちていくような気がした。

 でも、これは私自身が望んだこと。

 もしも私が人質の役目を果たせなかったら、家族の誰かが私と代わらないといけないのだ。

 しっかりしなくっちゃ!

 ようやく目が覚めて、ゆっくりなら体を起こせるようになった。


 絨毯の厚みを素足で感じながら、窓のそばへ移動した。

 窓はドワーフの森とは反対の方角に面していて、今まで見たことのなかった景色が広がっていた。

 点在する町や村、そして農地……

 窓の左端、北の方角には立派な山が見える。

 私は長いこと、その景色を眺めていた。