人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?

「段差があるから気を付けて。焦らないで、ゆっくりでいいから」

 きっと、この方が第一王子のウィリアム様だろう。

 ドワーフの女性が、ウィリアム様に支えられて歩いてきた。左の足先が石化しているのが見えた。

 メリー伯母さんに優しく話しかけるウィリアム様の声、そして微笑みかける横顔……

 私はどうしてだか、息をすることができなかった。

 ウィリアム様とメリー伯母さんが、こちらに向かって歩いてくる。

 私は反射的にうつむいた。

 恥ずかしいことなんてないはずなのに……

 それでも恥ずかしくて、ウィリアム様の顔を正面から見ることができない。

「姉さん、体の具合はどうだ?」

「動かない以外は何ともないの。ちっとも痛くないのよ。石になった部分はただ感覚がなくなるだけで」

「あなたがリリーちゃんね」

 メリー伯母さんが私の顔を覗き込んだ。

 私はこのときになって、ようやく呼吸ができるようになった。

「私が石化病になってしまったばかりに、ごめんなさい……」