人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 そして迎えた朝。

 私は、お祖母さんとお母さんが用意してくれたワンピースに袖を通し、付け髭も顎にきっちり貼り合わせた。

 何も怖くない、怯えなくていい。

 私はドワーフの族長の娘なんだ。人質にだってなれる。

 それって、それだけの価値が私にはあるってことでしょう? 

 ただでさえ小さいんだから、背筋を伸ばしてシャンとしよう。

 勘定を済ませ宿を出るときには、お父さんも口を閉じていた。

 ポールさんさえも空気をよんで黙っていた。

 ふたりとも、昨夜はあれほど大騒ぎしてたのに……

 私たちの誰もおしゃべりをしないで馬車に揺られること、数刻。

 眼前には、王城が威圧的にそびえ建っていた。

 せっかく奮い立たせた勇気はさっそく、ぺしゃんこに潰されてしまった。