「いや、そんなことはない。ただ、上品で繊細な……何ていうか、かぶりつけないような食事なんだ。父さんは振る舞われても、腹いっぱいになった気がしないってだけで、実際には腹いっぱいになっててだな……あー、とにかくそんな感じだ」
なーんだ、そういう意味か。
「それなら、私はお父さんとは違うから大丈夫なんじゃないかなー」
「言ったな? テーブルマナーで恥をかいてみるがいい!」
「そういえば『ルールとマナー』の本、食事マナーの章だけ読み込まれた跡があった! お父さん、恥かいて勉強したんでしょ?」
「……そうだよ」
お父さんがふて腐れたのが可笑しくて、私とポールさんは噴き出した。そうしたらお父さんまで笑い出して、3人して止まらなくなってしまった。
王城が間近に迫った頃、道が登り坂になったので、馬車はいっそうゆっくり進んだ。
「王城って、山の上にあったんですね」
道理で馬車が出発した地点からでも見えたわけだ。
「絶景ですよ。リリーさんなんて王城で働くんだから、城の高いところにも出入りできて、王国中を見渡せるんじゃないですかねー」



