人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?

 私はのんびりな馬車旅を満喫していた。

 日中は、とりあえず馬車の中で『ルールとマナー』を開いた。

 けれど、道が悪くなると馬車の揺れがひどくなって文字が読めなくなる。

 かといって道がよければよいで、読み続けていると次第に眠気が襲ってくるし……

 だから、そういうときには休憩と称して、お父さんとのおしゃべりを挟んだ。

 するとポールさんも入ってきて、軽快にトークをしてくれるものだから、話はついつい長くなってしまった。

 その結果、読書の時間よりもおしゃべりの時間の方がはるかに長くなったと思う(3倍くらい?)。


 毎日日没直前になると、その時点で最寄りの町へ入り宿に泊まった。

 ポールさんも一緒に泊まった。

「いい宿に泊まると、馬の世話もしてもらえるんですよ。族長さんはいつもそういう宿にしてくれるから、馬も僕も休めて負担が少ないんですよね」

 お父さんとポールさんと私の3人で夕食を取る時間は、この旅の中で最もお気に入りになった。