人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 私はお母さんのお腹の中にいる赤ちゃんのことを考えた。

 下の妹が生まれたとき、産後間もないお母さんに代わって、お祖母さんに教わりながら家のことをしたり、弟や上の妹の面倒を見たりした。

 今ならもっと色々なことができると思うんだけどな……

 今度はもう手助けできないんだ。

 弟や妹たちが、私の抜けた穴を埋めてくれるのかな?

 うん、あの子たちなら大丈夫だ。私がいなくても家は回る。

 何ひとつ不安はなかった。

 けれどそのことが寂しくて、鼻の奥がツンとした。


「リリー、さっきから黙ってどうした? 馬車に酔ったか?」

 お父さんが私の顔を覗きこんできた。

 私は鼻をすすって答えた。

「だ、大丈夫、そんなんじゃないから。その……2週間も馬車に揺られるなんて退屈しちゃうなって考えてただけっ」