「ちょっと1杯ぐらいのことでうるさいな」
「違っ、そうじゃなくて! 人とだよ? 200年前までは戦ってた相手だよ?」
「200年も前は父さんもご主人も生まれてないし、そんなことは知らん。それに今はどっちも同じ王国の国民だ」
「だ、だけど、ドワーフ族から人質を取ってるんだよ?」
「それはあのご主人には関係ない話だ」
「だ、だけど、自分の姉を人質として差し出して、今度は娘を差し出すのに?」
「だから、それはご主人がそう要求したわけじゃない。王家との200年も前からの約束事なんだ。族長でありながら、父さんにもどうすることもできないんだから、仕方ないじゃないか……」
お父さんは悔しそうに言った。
「リリーには『すまない』と頭を下げることしかできない。だけどな、王城に行っても無関係の人まで恨んだりはしないでくれ」
何だか裏切られたような気分だ。
これって、お父さんの懐が深いの? それとも私の器が小さいだけ?
釈然としないながらも、私は『分かった』としか答えることができなかった。



