「おおい、リリー! 上ばっか見てないで、前も見て歩けよ。ぶつかる」
いつも通りのお父さんが、私の隣を堂々と歩いていた。
お父さんはどこにいようとも変わらないんだなー。
それに気がついたら、少し安心した。
私も王城で暮らしていれば、そのうち人の中を歩くことにも慣れる日が来るのかな……
前方からこっちに向かって歩いている町人が、顔の高さまで手を上げたのが目に入った。
「族長さんじゃん。今日はどうしたの?」
えっ、すっごいフランク……
「馬車を借りに来たんだ。王城へ行く用事があってな」
「こんな時期に? あっ、そうそう、お願いしたいことがあったんだった。王城から戻ったらでいいから、うちの店に寄ってもらえないかな?」
「お願い?」
「絶対に損はさせない仕事があるんだ。というか、ドワーフの職人さんにしか頼めない仕事で、引き受けてくれないとめちゃくちゃ困る!」
「分かった、分かった。とりあえず話を聞かせてもらいに顔を出すよ」
「よろしくー。じゃあ、ドワーフの族長さんを襲おうなんて命知らずはいるはずがないと思うけど、一応気をつけて」



