「そんなもん要らないだろ」
「そういうもの?」
「リリー、まさか人の字が読めないんじゃないだろうな?」
「読めるよー。むしろドワーフ語のほうが不自由だよ」
自慢じゃないけれど、そうなのだ。
ドワーフの村でも、王国の公用語を日常的に使っている。
子どもたちは小さいうちから、村の外で購入した絵本や童話を読み聞かせてもらって育つ。
ドワーフ語はもはや古語の域に達している。
「なら、あれを読め。盗品を隠し持ってないか、チェックしてるんだろ」
お父さんが後方を指差した。
そこには大きなポスターが貼られていた。
『近隣の町で強盗事件が発生しました。目撃情報によると、メンバーは20代から40代の男性とのこと。この特徴に該当するかたは、手荷物検査にご協力ください』
なるほど……



