人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 ドワーフ族の主食は小麦だ。工芸品などを売って得たお金で、人から小麦を買っている。

 にも拘らず、小麦畑を見るのは生まれて初めてだった。

 農作業をしている人たちも見えた。

「お父さん、あれっ!」

 私は見慣れた農器具を見つけて叫んだ。

「ああ、これから行く町にはドワーフ族と取引している商家のひとつがあるから、この辺りでは俺たちの作った道具がけっこう普及してるんだよ。評判もかなりいいんだ」

 お父さんは淡々と説明した。

 私は大興奮だったのに、お父さんにとっては何でもないことだったみたい。

 人がドワーフの道具を使い慣れた様子で使用している風景は、私の目にはこれほど新鮮に映っているっていうのになー。

 それからもぼんやりと農作業の様子を眺めていると、お兄さんが右前方を指差した。

「リリー、あっちを見てごらん。町が見えてきたよ」