人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 王子様はそれを勘違いしたらしい。

「あー、期待させてごめん。そういう意味ではなくて……もっと真っ当にっていうか、人道的な手段でリリーをこの城に住まわせたいんだ」

 想像もしなかった答えに頭の中は混乱した。

「ええっと……結局この城には住み続けるんですか? だったら、今と何が違うんですか?」

 実質だけでなく名目上も自由に、けれど王城には住む……?

「リリーはまだ分からなくていいよ。そのときが来たらで。僕が勝手に画策するから」

「はあ……」

 王子様とこのまま一緒にいられるなら、どんな名目だって構いません。お任せします。

 そう思っている自分に気がついて、慌ててかぶりを振る。

 貴族でも何でもない私が王子様と一緒にいられるのは、私がドワーフ族の人質だからだ。

 人質でなくなったら、いくら王子様でも私を城に置いておく理由がない。

 身のほどを弁えないと……

 だけど、今だけ……今だけは!

 王子様とふたりきりのこの時間だけは、そのことを忘れていたいと願った……