人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 しかし、ちょうどそのとき、大イノシシたちも疲れてへばってきたのか、スピードが落ちてきた。
 
 最初からこのぐらいのスピードに調整して走ってくれればいいのに……

 ガタガタタタタガタタ……ガタガタタ……

 徹夜明けの身体に、台車の揺れが徐々に気持ちよくなってきた……


 お父さんに肩を叩かれて、私の目はぱちっと開いた。

「リリー、そろそろ森を出るよ。起きて周りを見てごらん」

「あれ? 私、寝てた?」

「ヨダレが出てたぞ」

 お父さんにガハガハ笑われ、私もつられて笑ってしまった。

「えへへ。せっかくお母さんが服を新調してくれたのに」

 大イノシシは相変わらず、ダダダッと走っては止まり、またダダダッと走っては止まりの繰り返しで進んでいた。

 そして次の瞬間、目の前がぱああっと明るくなった。森の外へ出たのだ。

 景色が一変した。

 森の先は、鮮やかな黄緑色が広がっていた。太陽の光を浴びてキラキラ輝いている。風が吹くと、その黄緑は巨大な1枚のシートのように揺らめいた。

「うわあああー!」

 私は思わず歓声を上げた。

「小麦畑だよ」