人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 お母さんに手伝ってもらいながら、私は身支度を整えた。

 その間も、干からびてしまうんじゃないかと心配になるくらい、お母さんは泣き続けていた。

「お母さん、私はみんなより半年だけ早く大人になって家を出る。ただそれだけだから」

 私なりに精一杯の背伸びをして、強がってみた。

 そして、お母さんのお腹をなでた。

 まだ下腹部がほんの少し膨らんでいる程度だ。

「この子、女の子な気がする」

 なぜかは分からないが、はっきりそう感じられた。

「それと、この子はきっと細工師になる。だからお母さんは体に気を付けて、元気で丈夫に産んであげて」

「ええ、そうね。そうするわ……」

 お母さんを泣き止ませたかったはずなのに、お母さんはますます激しく泣いた。

 こんなに泣いたら、お腹の赤ちゃんにも酸素がいかないんじゃ……

 オロオロしているところへ、お父さんが入ってきた。

「残念だが、時間が来てしまったよ。リリー、出発だ」