それと、成人前の髭を付けていないドワーフは人前に姿を出してはならない、という掟もある。
もちろん男性のドワーフの中には、付け髭ではなく、本物の髭をたくわえている者もいる。
私のお父さんがそうだ。
族長という立場のため、人と会う機会が比較的多い。そのため、『いちいち付け髭を付けるのが面倒』だと言って、地毛を伸ばしている。
しかし、女性のドワーフの場合はみんな付け髭だ。
私は成人していないけれど、これから人の中で生活していくことになる。
今日から付け髭を付ける方がいいんだろうな。
「お母さんの持ってる中で、1番上等な髭をあげるわ。これならゴツくないし、若い子にも似合うと思うの」
それはとても柔らかい短毛のあご髭だった。
「それと、髭に慣れないうちは食事中にしょっちゅう汚してしまうものだけど、これは毛が短くてあんまり邪魔にならないところがいいのよ。付け髭初心者にも使いやすい髭なのよ」



