人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?

 朝日が完全に登った。出発のときはもう目前だ。

 徹夜して寝不足なのと、大泣きしてしまったのとで、私の目は開けられないほどパンパンに腫れていた。

「まあ、何てひどい顔なの!? リリーたら、こんなときまで笑わせてくれるのね。あなたらしいわ」

 お母さんが笑いながら泣いた。

「いつもの作業着ではいけないわ。これに着替えなさい」

 お母さんは真新しい服を手渡してきた。

 いつの間に用意してくれたんだろう? 全く気付かなかった。

「でも、つなぎ服はつなぎ服なんだ?」

「あら、言ってくれるじゃない。でも、この素材は丈夫な上に、すぐ乾くところがいいのよ。洗い替え用に3着作ったから、汚れたら手洗いすればいいわよ」

 お母さんの手作りだ。すぐに分かった。

 すぐに着たいような、でもいつまでも着たくないような……

 ふたつの相反する思いに、心の中はメチャクチャだ。