お母さんは私を見て、のん気に言った。
「サイラスが慌てすぎなのよ。陣痛が来たからって、すぐには産まれないわ。まだまだ時間がかかりそう。もう5人目ともなると、」
「はいはい、『こういうのは何となく分かる』って言いたいのね。でもお母さんのそれ、信用できないから」
「ごめん、ごめん! リリーもサイラスもびっくりしちゃったわよね……あっ、陣痛の波が来た、ふう、ふう。リリー、ここ! ここを力いっぱい押して」
指定された尾てい骨の辺りを押した。
「弱い! 握りこぶしを作って、もっと思いっきり押して」
「えっ、こう?」
「そう。ふう、ふう、ふう……ありがとう、波が引いてきたからもう押さなくていいわ。でもまた陣痛が来たらお願いね」
ついさっきまであれだけ苦しそうだったのに、すでにケロっとしている。何とも不思議だ。



