私は人質になると決めたことを決して後悔してはいなかった。
それでもやはり寂しくてたまらないし、生まれて初めてドワーフの森の外に出ることに不安も感じていた。
だからお父さんと一緒にいられる時間が少しでも長くなるのは、単純にうれしいのと同時にとても心強い。
それは、村を去る前日、工房でのことだった。
「リリーには、細工師として俺の跡を継いでくれることを期待していたのに」
師匠が悔しそうに、ボソッとつぶやいたのだ。
「私なんか、いつかドワーフ族No.1の細工師になりたいって、ずーっとずーっと思ってましたよ。師匠のこともいずれ追い抜いてやるんだって」
「はああ? 俺を追い抜くだと? 弟子のくせに何生意気なこと言ってるんだよ」
「そんなの、やってみないと……って、私にはできなくなっちゃったんでしたね、へへっ」



