王子様が踊るのを見ていると、自分の身体がウズウズしてくるのを感じた。
「ほら、リリーも」
そう促されたら、自然と私の手は鳴り、足はステップを踏み始めた。
気づいたときには、王子様と視線を合わせながら踊っていた。
広い会場で踊っているのは私と王子様だけ。
「僕はリリーのことを人質でなくして、自由にしたいと思ってるんだ」
「今だって、実質は全然人質じゃないですよ」
「そうかもしれないけど、名目上もね」
「あっ、私のことをドワーフの森に帰したいってことですか?」
心拍数が上がっているのは、踊りのせいではなかった。
森に帰ればまた家族と暮らせる。
けれど、王子様とはお別れ。きっと会うことは二度とない。
それは嫌です!
声には出さず、代わりに王子様の瞳を見つめて懇願した。



