人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 横から『リリーは適当な作業するのが苦手そうだな』という揶揄いが飛んできた。

 私もすかさず『なぬ? 見ててくださいよ!』と顔をしかめた。

 こういう気の置けない会話は、ドワーフの工房に帰ってきたことを実感させてくれる。

「今流し込んでるのが固まるのは深夜になる。さっさと1回目の研磨を終えて、それまで各自仮眠を取ること!」

 一斉に作業に取り掛かった。


 研磨が終わった矢をチェックするのは、私の師匠だった。

 腕が鈍ったと思われたくない。

「お願いします!」

 この緊張感も久しぶりだ。

「丁寧すぎる。数が要るんだろ? 次は半分の時間で持って来い!」

「はい!」

 でもこの緊張感がたまらなく好きだとも思った。

 その後の作業は順調に進み、1回目の研磨はちょうど夕食の時間帯に終わった。

「全員、今から食事して仮眠を取れ。夜半になったらまた工房に戻ってくること」