お父さんは広間を出て文献を受け取ると、ペラペラとページをめくり始めた。
「そこ、そこです!」
お父さんは目を見開いた。
「……ドワーフの森にドラゴンが現れた。口から炎を吐くため、接近するのは危険と判断。矢で撃退しようと試みた……」
「それで? どうなったの?」
「ちょっと待ってくれ……ええっと……」
ああ、焦ったい! もし私も古語がスラスラ読めるなら、お父さんの横から覗き込むのに。
しかし、ただでさえ読み慣れない古語な上に、こういう公式文献はやたらと難解な言葉が使われている。
もどかしいけれど、お父さんが読んでくれるのを待っているほうがたぶん……ではなく確実に早い。
「んん!?」
「何? 早く読んで」
「急かすな。保存状態がよくなくて、ところどころ虫食いなんだよ」
お父さんの目線は文献の上を動いた。
あー、やきもきする!
「……しかし、硬い皮膚に覆われたドラゴンの体に矢は深く刺さることはなく、ダメージを与えることはできたが致命傷にはならなかった」



