人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?

「リリー、起きて」

 お母さんから体を揺すられて目が覚めた。

 けれど、熟睡しすぎていたせいで、すぐには頭までは醒めない。

 何なら、今お母さんに起こされる夢を見ている気すらする。

 だって、ほら、このベッドにいることが夢みたいなんだもん。

 カーテンの隙間から、オレンジ色の光が漏れていた。

「朝っ!?」

「やあねえ」

 お母さんがカーテンを開けた。

 太陽の方角から、まだ夕方なのが分かった。

「1日眠っちゃったかと思った……」

「よっぽど疲れてて深く眠ってたのね。でも、お父さんが呼んでるわ。『集会所に来てくれ』って」

 集会所? ああ、広間のことか。

 お父さんは公的に使用するときには『集会所』、私的に使うときには『広間』と、わざわざ呼び方を変える。

 私にはそれがややこしい。特に寝起きの頭では……


 お父さんとウィル様は、部屋中に敷かれた毛布の上に向かい合って座っていた。

「こっちに来なさい」

 お父さんに呼ばれて、“コ”の形になるように座った。