「王城からここまでの道中は携帯食しか食べてない。パンと干し肉と水なんだけどね。だから何でもいいよ」
「それはリリーの意見でしょ? 王子様は何でもよくはないんじゃない?」
「そうは言ったって、突撃訪問だったんだから。準備もしてないのに、特別な料理を出せるはずもないのは理解してくれるよ」
私がそこまで言うと、お母さんは腹をくくった。
広間に次々と普段通りの食事を並べていった。
ピッチャーに入ったミルク、グリーンサラダ、きのこのソテーに、パン。それと大急ぎで作ったオムレツ。
「私も食べていい?」
「王子様が『いい』って言ってくれるなら、いいんじゃない?」
ウィル様は自分の隣の空いた席をポンポン叩いて、『おいでよ』と言った。
私はまだ傷ついていた。
それでも久しぶりのお母さんの手料理はおいしそうで、抵抗するのが難しい。
そして護衛の人たちは王子様のそばを避けたのか、そこしか席は空いていなかった。



