でも、その王子様スマイルにときめくことはなかった。
その反対だ。その笑顔のせいで、私の心はズタズタになった。
この状況で、そんなふうに微笑むことができるんだ……
私のことを『人質でなくして、自由にしたい』とは聞いていた。
けれど、それってこういうことだったの?
交渉のカードみたいに、今この場でドワーフ族に返されるなんて……
ドラゴンの問題が解決すれば、私をドワーフの村に置いて、ウィル様は王城に帰る。
そうしたら、それっきりだ。もう会うことは叶わない。
王子様と平民だもん。あー、辺境の領主の娘にはなってるかもしれないけど……
それでこの恋もおしまい。
嘘つき。『人道的な手段でリリーをこの城に住まわせたいんだ』なんて言っておいて!
それに、テオ様やイヴリンさん、修理工房のみんなともこんな形で終わりにさせられるなんて……
私はどうやら自分で思っていた以上に、王城での生活が好きで手放したくなかったみたいだ。



