「そんなことダメだよ。息子である僕が、母さんと代わるよ!」
叫んだのは、下の妹とお父さんの間に座っていた従兄のお兄さんだった。彼はメリー伯母さんの息子だ。
メリー伯母さんが人質になるためにドワーフの村を離れたのは、お兄さんがわずか2歳のとき。
メリー伯母さんがいなくなって以降、私のお母さんが母親代わりをしたから、私とは兄妹のように育った。
「ううん。国王様だって伯母さんを『家族と過ごさせてやりたい』って書いて寄こしてくれたんでしょう? お兄さんがいなくてどうするの? それこそ、絶対にダメだよ!」
お父さんはまだ目を閉じていたけれど、私は姿勢を正してお父さんを真っ直ぐに見た。
「族長、私はもう15です。あと半年もすれば成人します。ドワーフ族のために、人質の役目を務めさせてください」
お父さんは相変わらず固く目を閉じたまま、しばらくじっとしていた。
それでも私は深々と頭を下げた。



