「手綱は僕が持つから、リリーは鞍の前部を掴んでてくれる?」
わっ、いけない、いけない。今はそんなことを考えているときじゃないんだった。
移動には足手まといでしかない私を同行させる理由……それは族長を説得する席で口添えしてほしいからのはず。
重要な役割を期待されているのだから、気を引き締めないと……
そう自分を戒めたものの、そんな必要はなかった。
馬が走り出したらそれどころではなくなってしまったのだ。
揺れる、揺れる、揺れる!
本当だ。イノシシと変わらない。舌を噛みそう!
速度も出ている。ポールさんの馬車とは全然違った。
さらに馬のほうが高さがある分、イノシシにまたがるよりも怖かった。
それでも、慣れてきたら何とかそれっぽく乗ることができた。テオ様の馬術の授業を見学させてもらっていたことも大きいと思う。



