その左隣からは、すすり泣きが聞こえる。
お母さんだ。
お母さんは、お父さんが書簡の内容をみんなに伝えてからずっと泣き続けている。
お母さんのお腹には、今赤ちゃんがいる。少し前に妊娠が判明したのだ。
お母さんには、この村で安心して元気な赤ちゃんを産んでもらわないと。
弟かな? 妹かな? もしかすると両方なんてこともあったりしてね。
そして私を挟んで、弟のサイラスが座っている。
まだ13歳なのに、責任感に溢れている。さらに、お父さんの後を継ぐのにふさわしい武芸の才も持っている。この前なんか、村を襲ってきたオオカミを退治して、村の子どもたちを守ったのだ。
サイラスさえいれば、ドワーフ族の未来は安心、安泰。
それから9歳と6歳の妹たち。こんな幼い子らに人質の役目を押し付けるなんて、あり得ないでしょ。
やっぱり、こうするのが一番いい。
私の心は、とっくに決まっていたのだ。
というか、これ以外にないじゃない?
私は大きく息を吸いこんだ。
「お父さん、いいえ、族長。私が王城へ行きます!」
全員の視線が私に集まる。
私はにっこりと笑ってみせた。



