人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 式典は始まってすらいない。

 だというのに、王城に集まっていた馬車は、クモの巣を散らすように散り散りに去っていった。

 さっきまで王城に充満していたはずのお祝いムードは完全に消失してしまった。

 みんな今日という日のために、一生懸命準備をしてきたのに。忙しそうに、でも楽しそうに……

 私やドワーフの工房で働くみんなだってそうだ。徹夜までしてがんばって仕上げた宝剣は、このまま日の目を見ないの?

 そして誰よりもウィル様は?

 今王城内のどこかで、私と同じ光景を見ているの?

 ウィル様は一体どんな思いで、火山とドラゴンを見つめているんだろう……

 みんなの苦労と期待と……全てが台無しになってしまった。

 私がやったことではない。火山の噴火かドラゴンか、あるいはその両方かもしれない。

 だけど、私が強く願ったのもこういうことだったはず……

 私は自分を責めて、責めて、責めまくった。