「ですから、ウィリアム様ご本人がお相手を決めるまで待っておられるのだとか。ウィリアム様にはこれまで、そういったお話がひとつもございませんでした。ですが、本日成人になられますので、『さすがにそろそろではないか』と噂されています」
さっきまでの楽しかった気持ちは瞬く間に消えて、私の胸は真っ暗な空洞になってしまった。
貴族でもない私は招待状を受け取っていない。
私が謁見の間に入れない間に、ウィル様はたくさんの美しく着飾ったご令嬢と会って、その中からひとりを選んでしまうってこと?
昨日、謁見の間でウィル様の瞳に映っていたのは私だけだったのに……
そんな!
夢はすっかり醒めてしまった。
ウィル様が王子妃となる女性と恋をするのも、婚姻を結ぶのも、そして一緒に暮らすのも……私は人質として王城から出られない以上、全て間近で見届けないといけない。
そんなの耐えられる?
いや、無理に決まってる。
ウィル様、どうか出会わないで……
ああ、式典もパーティーも中止になってしまえばいいのに!



