人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?

 一夜明けて、いよいよウィル様の成人を祝う式典が開かれる。

 祝日になったため、修理工房もお休みだ。

 私は今日1日やることがない。

 不用意に謁見の間に近づかなければ、いつも通り自由にしていいらしいけれど、部屋の外をウロウロするのは気が引ける。

 常時人質のドワーフがいるから王城の人たちは慣れているけれど、今日の来賓の中にはドワーフを見たことがない人もいるかもしれない。

 そういう人は、私の髭を見たらびっくりしてしまうだろう。

 今日という日に、わざわざドッキリを仕掛ける必要もない。

 かといって、付け髭を取りたくもない。それはウィル様とふたりのときだけにしておきたい。

 別に疎外感があるとかじゃないから平気。

 私はまだ、昨日のしあわせな夢の延長線上にいて、まどろんでいるような気分なのだ。

 それと今日のための衣装を着たウィル様を、事前に2回も見られている。それはすごく特別なことなんだって理解していた。