あっ! と思うのと同時に、私はめちゃくちゃ焦った。
「だ、だけど、私は『近寄るな』なんてつもりは全くなくて! あれは村を出るときにお母さんが譲ってくれた髭で、それでっ」
「ごめん、ごめん。ちょっと意地悪を言いすぎだね。でも、それくらい淋しかったんだってことで許してよ」
「ウィル様のほうも、私が今日まで髭を取らなかったことを許してくれるなら……」
「許すよ。許すってのも変だけど。僕はリリーのこと怒ってたわけじゃないしね」
「ほっ、よかったです」
「髭があっても可愛いけど、ないほうが僕は好きだな。何より僕に心を開いてくれてる感じがするから。これからも、ふたりのときは髭を付けないでくれる?」
それは、『僕に心を開いてほしい』って言われているみたいで……
私はコクコク頷いた。
「うれしいなー。最高のプレ・誕生日だ!」
それはなぜだか少しもリップサービスには聞こえなかった。
私の言動でこんなにウィル様が喜んでくれるなんて……
「大袈裟ですよ」
「少しも大袈裟じゃないって!」
心を開くどころか、私の心はウィル様のものなのに。
私たちはそれからも踊り続けた。



