人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 ウィル様は踊ったまま、私を見つめ、にっこり笑った。

「髭を取ったんだね」

 ウィル様は今『髭を取った』と言った。『剃った』ではなく。

「もしかしてウィル様は、あの髭が付け髭だって知ってたんですか?」

「それはもちろんだよ。だって僕とメリーは友達だったんだから。メリーは僕とふたりだけのときは、いつも取ってくれてたんだ」

 そうだったんだ。ウィル様は付け髭って知ってたんだ。

「メリーは髭を取る前に、こう教えてくれたよ。『ドワーフは髭を付けることで、相手に“自分は強いぞ、近寄るな!”っていうメッセージを送ってる』んだって。それと、友達である僕を『威嚇する必要はない』ともね」

 そこまで話すと、ウィル様はわざとらしくため息を吐いた。

「それなのにリリーときたら、いつまで経ってもきっちり髭を付けたままだったから、僕は淋しかったよ」