「楽団のほうは……ごめんね。フルオーケストラにはほど遠くてカルテットなんだけど、それでも頼んで来てもらったんだ」
カルテットでも充分すぎるくらいだ。
こんなことってある?
人質として、王城に来たはずなのに……
ドレスアップさせてもらって、ウィル様とふたりだけの時間を過ごせるなんて……
「ワルツをお願いしまーす」
聞いたことはなかったけれど、テンポのいい曲で直感的に好きだと思った。
「リリー、踊ろうよ」
「えっ、踊り方が分かりません!」
社交ダンスなんて、私はとてもではないけれど踊れない。
ウィル様だって、そのくらいのことは分かっていると思うのに、どうしてそんな無茶を言うんだろう……
「ドワーフの踊り、メリーに教わって、僕も少しだけ踊ったことあるよ」
そう言って、ウィル様が1、2、3のリズムに合わせて、床を踏み鳴らしたり、ジャンプしたりしてみせた。



