人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 私はそれからも毎日工房へは顔を出したけれど、掃除をしたり、道具の点検と手入れをしたりして過ごした。

「助かるよ。大切なことだって分かってはいても、どうしても面倒でね」

 工房のみんなからは感謝された。

 充電期間にこうして過ごすのも、なかなか有意義でいいかもしれない。

 そんなふうに過ごしていたら、久しぶりにウィル様からお茶のお誘いを受けた。

 うれしいけれど、ウィル様が無理をして時間を作ってないか心配になった。それくらい最近のウィル様は忙しそうなのだ。


 しかし、温室で向かい合ったウィル様はことの外、すっきりとした顔をしていた。

「成人祝いの式典はもうすぐなのに、よかったんですか?」

「うん、ようやく前準備が済んだんだ。大変だったけど、あとは本番だけ」

「なら、それまで少し休んだほうがいいんじゃないですか?」

「リリーとお茶すると元気が出るんだよ」

 ふふっ、この王子様スマイルとリップサービスも久しぶりだ。

 けれどすぐにイヤリングのことが頭をもたげて、複雑な気分になった。